
私の会社では、定期的に若手社員と人事部が意見交換をする機会があります。その場で話し合われる内容は色々あるのですが、その中でもホットな話題は最近の高い離職率と給与体系。まあ毎回話しても結論が出ずに同じ話を繰り返しているんですけどね。
ある日の定例会には私もたまたま参加していたんですが、人事部のオッサンがなかなか思い切った発言をしていましたね。ちょっと議論も白熱していたんでぶちまけてしまったんでしょう。
簡単に言うと「もっと会社は基本給を上げるべきではないか」に関する議論でした。私の会社は東証一部上場企業ですが、その中でも平均給与は中の下くらい。若手社員は「同じ年代で違う企業で働いている知り合いの話を聞いても、自分たちの仕事のレベルは高い。だから上場企業の上位企業と同じレベルに給料を挙げるべきだ」と主張。一方で会社は「仕事のレベルが高い、というのはあくまで感覚の話。上場企業の中でも事業内容が似た企業と比べれば給与は同じくらいだ。わが社の給与レベルが低いとは思わない。」と主張。
若手社員はさらに、「事業内容が似た企業と比較すべきというが、競合の海外企業に比べるとウチの給与は低い。欧米のみならず韓国企業に比べても低い。」と主張。会社は「いやいや、海外企業は即戦力を採用して使えない人間の首はすぐに切る。うちの会社は新卒を戦力として育てていくやり方だから、単純に海外と比較するべきではない」とやりかえす。
ああだこうだと議論が白熱して最後に人事のオッサンは言い放つ。
「現在の日本社会は雇用が流動化している。一つの会社にしがみついて働く必要もない。我が社は新卒社員に投資し育てて、給与も上げていくやり方です。それが不満ならあなた方の言うような高給な海外企業に転職して頂いて結構です。それも生き方の一つです。」
グゥの音も出ません ww 私も同感です。嫌なら辞めればいいんですよ。「競合企業の社員の給料が高いんだから給料上げろ」というロジックであれば、「じゃああんたはその競業企業の人間と同じぐらい高いレベルで働けるんだから、そっちに移ればエエヤン」となるわけです。人事のオッサンのいうことはまさに正論で、見ていて気持ちがいいなァと思いましたよ。
ところで一つ気になったのですが、基本給ってどうやって決まるんでしょうね。ボーナスは業績で変動するのは理解できます。では基本給は?人事のオッサンの話だと基本的には、規模や売り上げが似た企業の基本給を調査して、その結果をもとに基本給を上げるか上げないか、上げるならどれだけ上げるかを決めているとのことでした。
でも、それって他の企業も同じことやるとどうなるか?たいていの会社は基本給を上げるのに消極的。そうすると多くの企業は「他の企業も基本給上げていないからウチも上げないぞ」「ウチも!」「ウチも!」となって、結局どの企業も給料上がらないということになるんじゃないか。
毎年トヨタの賃上げ動向がニュースになって、どの企業もこれに右へ倣えとなると聞いたことがあるんですが。とすると、日本人の給料が増えていないのは、多くの企業が意図しない形で”結託”しているからのように思えてきますね。
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