
私は投資を開始してから一貫してインデック投資を続けている。個別株やレバレッジ型ETFに浮気をしたことはない。
こんなケースを考えてみる。もしも私の親戚や極めて親しい友人が、「資産運用をやってみたいけど全然詳しくないんだよね。チャンドラってなんか投資やってるらしいね。お金預けるから代わりに運用してくれない?運用して利益がでたら少しはチャンドラにあげるし。その代わり利益が少なかったり損してたら口出すかもね。運用成績は毎年決まった時期に報告してよね。じゃあ、よろしく。」
現実の私は間違いなく断る。なぜなら他人の金を運用するなんて責任が重すぎるし、金に関してゴタゴタが起きたらたとえ親しい人でも縁が切れるからだ。では仮に私が利益目的でその人たちの代わりに運用することを承諾したとする。たぶん私は、その人たちのお金を自分がいいと思っているS&P500に投資すると思う。(S&P500なら何も私に預けなくても自分で投資すればいいわけだが、その人たちは投資の仕方を全然知らないので完全に私に任せるとする。)
私が他人(投資家)の金を運用し始めて1年後、リターンを報告する。今年1年のリターンは2%でした。ある投資家はこう言う。「2%か。まあそんなもんかな。でも来年はもっと高いリターンが欲しいな。もっと攻めた投資をしてほしいよ。」別の投資かはこう言う。「なんか思ったよりリターン少なくない?てかAmazonとかの成長する株に投資しておけばもっとリターン高いんじゃないの?」ここで私の心が揺れ動く。「自分から金預けるとか言い出したくせに文句ばっか言ってきて面倒くさいな。もう金返したいけど、いまさら運用やめますって言いにくいしな。でもこいつらに投資金額引き上げられても困るしな。今期はハイテク株の比率をあげるか。」
他人の金を運用するのと自分の金を運用することの違い。それは他人の顔を窺う必要がでてくるという点だ。他人の金を運用して結果が出せなければ、このファンドは運用能力がないと判断されてそのお金が引き上げられるかもしれないから。
そう考えるとバークシャー・ハサウェーとかソフトバンク・ビジョンファンドとかのファンドは、そのポートフォリオが必ずしもウォーレン・バフェットや孫正義が心の底から望んでいるポートフォリオだとは言えないのかもしれない。もちろんファンドに出資した投資家たちはファンドのビジョンとか投資方針とかファンドマネージャーの人間的魅力に引かれて金を出しているわけだが、同時に金を引き上げたり口を出したりする権利も持ち合わせている。だから、多かれ少なかれ、ファンドマネージャーの意思決定には、他人の顔を窺う要素が入ってくると思う。
そう考えると、他人の金で運用しているファンドのポートフォリオを参考にするのではなく、優秀な投資家が「自分の金で」投資しているファンドの方を参考にするべきだろう。そんなの知る方法を知らないが、バフェットは自分の妻にS&P500への投資を勧めたそうなので、結局S&P500に投資しておけばいいのではないかと思う。
こちらからランキングに戻れます↓