講談社現代新書の「未来予測入門」は、未来予測は外れるのが当たり前だと述べています。
いくら過去のデータを集めて分析しても、ごく些細なひとつの変化によってシステム全体に大きな変化が生じるからです。
同書は面白い例を紹介しています。
1970年代のイギリスで信じられていた未来予測と、実際の40年後の現状を比較したのが下の表です。
引用:未来予測入門
1970年代の未来予測を見ると、そのほとんどが悲観的な内容であることが分かります。これには理由があります。
そのひとつが悲観論。
人間は楽観的なニュースよりも悲観的なニュースにより敏感に反応する傾向があります。
従ってシンクタンクなどが悲観的な予測を発表すると、その悲観的な内容が大衆に指示され、将来は悲観的だという考えが醸成されていくのです。
もうひとつは技術上のブレークスルーの想像しにくいことです。
例えば、1970年代には「石油とガスは間もなく枯渇」すると予想されていました。私が小学生の時に同じことが教科書に書いていました。
現状は違います。
2000年前半にアメリカでシェールガス・シェールオイルの採掘技術が発達したので、これまで開発が難しかった地域で石油開発ができるようになりました。
深海のガス採掘技術も発達したので、新しい巨大ガス鉱区も発見されています。
その結果、石油・ガス枯渇説はいつの間にか聞こえなくなりました。
確かに未来予測が比較的当たりやすいものもあります。
例えば日本の人口。
信頼できる年齢別の人口分布のデータは簡単に手に入ります。まさか出生率が3.0まで劇的に上がるわけもないので、おおよその出生率を使えば30年後の人口は予測できます。
逆に難しいのは特定の企業の株価。
株価は競争環境や原油価格、投資家の心理など様々な要因が影響するので予測が難しいのです。
ちなみに私の勤めている企業は東証一部上場ですが、企業の事情に詳しい私でも自社の株価が上がるか下がるかを予想できません。
競争環境はめまぐるしく変わるので10年後に他社より優位に立っているか分からないし、事業を広げたとしても投資家がそれを好評価するかは分からないからです。
自分の勤めている会社の株価も予測できないのに他社の株価は・・・予測できませんよね。
というわけで、
単純なケースを除いて、未来予測は当たらないと考えた方がよさそうです。
世界経済がリセッションに入るような悲観的な論調も、「悲観論は流行りやすい」程度に考えておけばいいでしょう。
繰り返すと、
悲観論は流行りやすいのです。
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