「日本がドイツより幸福度が低い理由の1つは店のサービス過剰」という記事からの引用。
これは日ごろ私の感じていることと合っていてなかなか面白い記事ですよ。
ドイツの店や企業では日本ほど顧客へのサービスに時間をかけていないことが考えられる。ドイツではサービスはタダではなく有料だ。店員やタクシー運転手、理髪店、ホテルの部屋の掃除人などにはチップを払わなくてはならない。チップのない国から来た日本人の中には「この悪いサービスにチップまで払うのか…」と思う人も多いだろう。
また、ドイツの商店では、それぞれ店員の仕事が厳密に決まっており、与えられた任務以外はやらない。客から要望があったとしても、自分の仕事ではなかった場合、店の決まりを優先させる。ある時、パン屋で2人の店員がいた。1人はカウンターの前に列をつくって待っている客の対応をし、1人はのんびりとショーウインドウのガラスを拭いていた。このため、1人の客が横から割り込んできて、ガラスを拭いている店員にパンを注文しようとしたところ、その店員は「私の同僚に注文してください」とにべもなく断ったのだ。客はしぶしぶ並んでいる客の列の後ろについた。これは、ドイツではしばしば目にする光景である。
これは一見、ホスピタリティに欠けたギスギスした社会に思えるかもしれないが、利点もある。過重なサービスをやめることで、人々の働く時間が短くなり、商品やサービスの値段も安くなる。つまり、ドイツでは、社会が過重サービスを減らすことによって生活コストを低くし、自由時間を増やすことで、収入が低くてもゆとりのある暮らしを送ることができているのである。
日本では商店やレストランでの接客態度においても、“お客ファースト”なのが伝わってくる。私が知っているドイツ人夫婦は、15年前に初めて日本で休暇を過ごしたが、「日本でお店に行くと、店員の態度がとても丁寧なのに感心した。客が店内の商品をゆっくり見られるように、客に対して押しつけがましい態度をとらない。しかし、客が何かを知りたいなと思うと、すぐに飛んできて親身になって考えてくれた」と語る。
このように、日本の店員は客の振る舞いには細心の注意を払っており、客が何かを知りたそうな素振りを見せると、すぐに客のところに駆けつける。決して押しつけがましくなく、しかも客を放っておくわけではない。この客との「間合い」のとり方が絶妙だとドイツ人の知り合いは感じたのである。
コインに表面と裏面があるように、あらゆるものには光と影、長所と短所がある。私は毎年日本とドイツを行き来する間に、「日本のおもてなしは客にとっては素晴らしいことだが、サービスを提供する側にとっては、過重な負担になっているのではないか。日本の店員や郵便局員の労働条件は、サービスの手抜きをしているドイツよりも、悪くなっているのではないか」という思いも持つようになってきた。
私も色々な国に旅行、出張、駐在で行きましたが「日本のお客様ファースト」思考は群を抜いていると思います。ポイントは、高級店でなくとも安い店でもそれが徹底されている点です。
海外で安い店行けば分かりますが、床にゴミが落ちてようが平気。レジ打ちはスマホでゲームしてるし、レジで商品渡したら面倒臭そうに対応されます。
でも、それが普通なんですよ。安い店に行けばそれ相応の対応されるのが当然なんです。
でも日本は違う。安い店でもゴミ一つ落ちてないのが普通だし、スマホ触りながらレジ打つやつなんてめったにいないし、商品をとても丁寧に袋詰めしてくれる。素晴らしい国ですよ、日本は ww
でもね、この過剰サービスが「労働者の負担を大きくしている」というのは的を得ていると思うんです。
なぜなら、誰もが過剰サービスをやり出すと、消費者は「このレベルのサービスが当たり前」だと思うから。記事でも書いてますが、本屋でカバーを無料でかけてもらうのも、当たり前と考えてしまう。
でも、本屋からすれば毎日何百人も来る客に「カバー掛けますか?」と聞いて本に丁寧にカバー欠けるのだってコストなわけです。(私からすればカバー用の再生紙を1枚5円で売って客に自分で包ませればいいと思いますが ww)
一番のポイントは、いったん上げてしまった顧客サービスの水準を下げるのは難しい、ということ。
それをやると、「あの店はサービス悪くなった」と思われると顧客が離れるから。
私は思うんですが、過剰サービスが労働時間の増加につながり、生産性の悪化につながっているなら、日本の労働生産性を上げるのは無理でしょうね。なぜなら、顧客は高いサービスに慣れきってしまって、それが”常識”だと考えているから。
そしてサービスの対価として値段を上げるのも無理でしょうね。そもそも日本人の給料は下がるか横ばいなので、値段上げれば客は減るからです。
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どうだろうか?セルフサービスや自動レジなどでその分やすくすれば客は減らないと思うが
確かに。でもそんなに普及してませんよね。ユニクロくらい?何故でしょう?
日本で生産性が低い分野の筆頭がサービス業なのでご指摘の通り過剰サービスが要因ぽいですね。
ただこの様な状態になったのはGDPがほとんど成長せずに30年も経過したため、過当競争になった事も大きいと考えられます。需要が増えないままパイの奪い合いでどんどん過剰サービスになり疲弊した感じですかね。
でも今後は労働者人口が大きく減少して安く雇えなくなるのでのでガラッと様相が変わるかも知れません。まあサービス業の日本人が単に移民に変わるだけかもですが・・
>でも今後は労働者人口が大きく減少して安く雇えなくなるのでのでガラッと様相が変わるかも知れません。まあサービス業の日本人が単に移民に変わるだけかもですが・・
それは言えてますね。
『サービス残業』という言葉は『過剰サービス』を批判する皮肉の意味合いもあるんですね。