レビュー 書評 社畜

世界で最も革新的な企業エンロンの株価 ww

投稿日:




 

地方の地味なガスパイプライン会社が突如、世界有数の巨大企業に変貌したという面白い例があります。それが2001年に破綻したエンロンです。

そんなエンロンの興亡は黒木亮氏の「青い蜃気楼」で詳しく描かれているのですが、これがまた生々しくてゾクゾクするほど面白い。

 

設立当初のエンロンは、テキサス州周辺の中小ガス生産業者から天然ガスを買いあげ、それをパイプラインで輸送するという規制に守られた利ザヤの薄い商売をやっていた。保守性と堅実さだけが売り物の、古き良きアメリカ企業だった。

ところが、レーガン大統領の経済改革がエンロン変身の契機となる。・・・その柱は減税と規制緩和だった。・・・その一環として政府はガス事業の規制緩和に着手。1980年代後半から90年代初頭にかけて、州をまたいだガス輸送、ガス価格、ガス輸送業者による小売事業などが次々と自由化された。それに刺激を受けたかのように、エンロンは突如眠りから覚めたか龍のごとく、野心的な事業拡大に乗り出していく。

1988年:最初の海外事業所をロンドンに開設

1989年:今日の商品トレーディング・ビジネスの前身である、天然ガスのトレーディングを北米と欧米で開始。

1993年くらいになると、エンロンの急変貌は誰の目にも明かになった。それまでガスの仕入れはもっぱら天然ガス生産者から買い入れていたが、自らガス田の探鉱・開発も手がけるようになり、「我々は天然ガス事業において、初めて川上から川下まで手がける、世界初のガス・メジャーである」と盛んに宣伝するようになった。この頃からエンロンは、エクソンやシェブロン、テキサコなどの川上から川下まで手がける石油メジャーに対抗する野心に駆り立てられたかのように驀進していく。

1993年:英国中部で世界最大の複合ガス発電所を完成。

1994年:米国で電力トレーディング・ビジネスを開始。

1995年以降:ロンドンを始め欧州各地でガス・電力トレーディングを開始。さらには中国、トルコ、インドネシア、アルゼンチン、ドミニカ、アルゼンチン、フィリピン、コロンビアなど世界各地で発電所やパイプライン事業を拡大。

本書の登場人物の言葉を借りると、たとえていえば、大阪ガスが突如世界中でプロジェクトをおっぱじめたって感じです。

 

Sponsored Link



 

エンロン社内には2つの派閥がありました。1つがレベッカ・マークが率いる発電・パイプライン事業。他方がジェフリー・スキリングが率いる電力・ガスのトレーディング事業。やがてスキリングの電力・ガス事業が社内の主流派となり、エンロンは金融工学を駆使したトレーディング事業に傾倒していきます。エンロンのチャレンジ精神とIT技術はインターネット上の企業間取引市場「エンロン・オンライン」に結実します。

アルゼンチン、ドイツ、オランダ、英国、米国の天然ガス、英国、米国、北米、オーストラリアの電力、二酸化炭素排出権、ヨーロッパ、アジア、中近東の原油、ヨーロッパのエチレン、プラスチック、ベンゼン、米国、ヨーロッパの石炭、海上貨物輸送、米国、カナダの紙・パルプ、アルミニウム、鉛、ニッケル、鉄、プロパンガスなど世界を股にかけて数百の商品が取引されている。・・・

1日平均取引件数六千件、1日平均取引額二十五億ドル、取扱品目二千百、取扱通貨十五という圧倒的な巨大サイトに成長し、エンロンはエネルギー・トレーディングの世界で不動の地位を確保した。

 

そのエンロンの株価推移がこちら。エンロンオンラインのリリースで株価は40ドルから暴騰。一時は90ドルまで上げるも、2年後には破綻してゼロに。。。

Sponsored Link



 

エンロンは会計事務所と癒着して業績が好調のように見せかけていました。そして投資銀行にとってエンロンは良いお客さんだったため、エンロンに関してポジティブなレポートしか書いていなかった。

「我々がカラ売りの対象としてエンロンに興味を持ったきっかけは「マーク・トゥ・マーク会計」だ。経験から言って、この手法を使う会社は将来の価格予想を操作することで巨額の利益を計上しようとする。そひえて現実が彼らの予想と食い違たとき、過去の利益を修正する代わりに、さらに大きな新規の取引を行うことで損失を隠蔽しようとする。・・・

2001年1がつから、我々は投資銀行のアナリストたちと意見交換を始めた。驚いたことに彼らのほとんどが「エンロンの利益はブラック・ボックスだが、株価があがっている限り誰もそんなことを気にしない。」といったが、明らかに彼らは、エンロンが受けとる巨額の引受手数料やM&A報酬のために、本音でアナリスト・レポートを書けない状態に置かれていた。

個人的には「マーク・トゥ・マーク会計」というものを初めて知って目から鱗でした。「マーク・トゥ・マーク会計」というのは顧客と長期の契約を締結した際に、契約全期間を通じて上がる利益を現在価値に直して即座に収益計上するする方法。この例を小説で書いているので引用すると:

たとえば、ガスを5年間生産者から買い付けてそれを電力会社に5年間売る契約をしたとしよう。5年間の利益の合計が仮に93万ドルだとすれば、通常の会計処理では毎年18万6000ドルずつ利益を計上する。ところがエンロンは93万ドルを予想金利水準8.7%で割引いた現在価値の72万9000ドルを契約締結と同時に一括して収益計上するのだ。

「マーク・トゥ・マーク会計」会計は果たして適正なものなのか?答えはYesである。ただし、最長20年間にも及ぶそれらガス供給契約の有効期間中、契約相手の不履行や税制の改正といった重大な事態が一切発生しなければ、という条件付きだ。

予想金利水準を高く設定すればするほど利益を大きくすることができるわけですが、どうやって決めているんでしょうね。契約期間中に起きうるリスクを考えずに利益を契約年度に計上しまくるのは、何か危ない匂いがプンプンするのですが。。

 

Sponsored Link



 

エンロン破綻は当時米国史上最大の企業破綻で、一企業と会計事務所、投資銀行の癒着を明らかにしました。一方で、エンロン・オンラインは当時世界最大の電子取引サイトで、エネルギー・デリバティブをインターネット上で取引できる画期的なサービスだったことは否めません。

ラストは生き残りをかけて競合企業に経営統合を持ちかけますが、無慈悲にも拒否されます。

冴えない地方のパイプライン会社が瞬く間に巨大企業に成長し、そして消滅していく盛者必衰の有様は、ドラマのようで最高に面白い。

 

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-レビュー, 書評, 社畜

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

【恐怖】「私の部屋を貸すわよ」と交渉してきた謎のバアさん

  私が社会人になったころは会社の社宅に住んでいました。 私は地方出身なので土地勘もなく、上京してきた当時は土地勘を養うために社宅の周りをウロウロしていたのですね。   ある日、社 …

給料が上がらない!昇給率が低い現実・・・

  チャンドラです。   昇給率が低すぎてゲンナリしたという話をします。   私の会社はバリバリの日系企業です。そのため昇給率は低いです。 新卒から入社6年目までの昇給率 …

あると便利な年収・手取り早見表はこれ

  ちょうど今月の給与明細を見ていて気が付いたのですが、住民税が激上がりしているぜいで、手取りが全然増えません。 今年は少しばかり昇給したので手取りが増えるかと思いきや、それと全く同じペース …

「明けましておめでとう」が言えない人 ~ なぜ挨拶が大切かを真面目に考える

    チャンドラです。   新年が始まりました。会社では多くの人が「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」と挨拶回りをしていました。 ところが一 …

コロナで無駄な会議が減ってキモチィィィ wwww

  コロナウイルスは閉鎖空間で大人数が集まるときに感染リスクが高い。この情報が出回った頃、私の会社では大人数でのミーティングを原則禁止するようになりました。 その結果。ムダなミーティングが激 …


チャンドラです。

都内在住の30代前半サラリーマンです。6年間で貯めた2000万円を元手にインデックス投資を始めました。このブログでは資産運用の方針、運用成績、家計簿、節約生活を赤裸々に公開しています。

メディアインタビュー記事:こちら

投資運用成績は:こちら

投資を始めた理由は:こちら

お問い合わせは:こちら


にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ