日本人ほどアメリカを理解できていない国民はほかにいない。
橋爪大三郎氏の「アメリカ」ではアメリカの宗教、プラグマティズムに焦点を当てて、日本人とアメリカ人のものの考え方を明らかにしていきます。
アメリカ (河出新書)[本/雑誌] / 橋爪大三郎/著 大澤真幸/著
本書の中で、「努力と成果」に関する考え方の違いがあります。
多くの日本人は努力をすればするほど成果を出せると信じています。
一方、アメリカ人はそうは考えないようです。
一生懸命働くこと。職業活動が自分にも他社にもよいことで人生の目標であること・・・
日本人は、まったくプラグマティストとして行動しているように見える。まったく資本主義的に行動しているようにも見えるけど、両者は同じなのか?
プラグマティズムと日本人とでは、その神学というか、エートスの前提が違います。
プラグマティズムはやっぱり、神の支配を出発点としている。そうすると、才能があると思って一生懸命努力したけれど、実は才能がなかった、ということを許容しなくてはいけない。そうやって納得する。
一生懸命努力したけれど、結果が伴わなかった。これは運がない。運とは神の意志です。神の意志なら、人間の努力は無意味なんですね。
努力して結果が伴うより、努力しないで結果が伴うのが、いちばんいい。
こういう神学の中にアメリカはあるから、努力と成果は無関係であってよい。
あんまり努力しないのに、どういうわけかすごく金持ちというひとがいれば、それは神の恵みだからよいということで、偉いのです。日本ではそういう神学は許容されない。
神学が違えば、制度も運用も違い、人々の自己理解も違ってくるのです。
プラグマティズムが重視するのは成果を出すことです。
成果を出すためには努力が必要ですが、努力をせずに成果を出すのが一番いい。
努力をしているが、成果が出ていない。これがいちばん最悪なんですね。
アメリカの企業が成果主義であること、結果を出した人がお金をもらって当然であるという風潮があること。
これらの考え方の根底にはプラグマティズムがあるからなのです。
アメリカ (河出新書)[本/雑誌] / 橋爪大三郎/著 大澤真幸/著
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コメントありがとうございます。
努力して一時的に結果を出すとして、そこで得た経験を活かして次やることはより少ない努力でこなすという考えも大事かと思います。何も学ばす同じ苦労ばかりするのは効率悪いですしね。