不安に駆られて資産を現金化した投資家というタイトルでバンガード社がレポートを出しています。
そのレポートによるとコロナ禍で米国株式指数が暴落した際にバンガード者で運用していた個人投資家のうち17%が資産を売却したと報告しています。
もっと多いのかと思っていたのですが、さすがはバンガードを選ぶ投資家、残りの87%の人たちは売らずに我慢して耐え抜いたんですね。
このレポートを見ていて面白いなぁと思ったのがレポートにあるグラフです。2020年2月19日時点でバンガードで投資し続けてきた投資家が、資産を売却したときのリターンと、仮に売却しなかった場合のリターンを比較したグラフ。
2/19とは暴落スタートした日付です。つまり下図の赤い矢印。
下のグラフが資産を売却したときのリターンと、仮に売却しなかった場合のリターンを比較したものです。
青:実際に売却したときのリターンをヒストグラムにしたもの
赤:売却せずにホールドしたときのリターンをヒストグラムにしたもの
グラフは下に行くほど見ている期間が2/19を起点に1か月、2ヵ月、3か月と変わります。
これを見ると分かる通り、時間が経つにつれて(つまり下のグラフに移るにつれて)赤いグラフが右側に移っていることが分かります。一方で青いグラフは変わりません。
これはつまり売らずに持っておけば、5月末にはほとんどの人が売ったときよりも高いリターンを出せたということです。
バンガード社曰く、資産を売ってしまった投資家のうち80%以上は、売らずに持っておけばより高いリターンをあげていたと分析しています。
5月末といえばS&P500が3,000ポイントなので、3,500まで上がった8月までもっていれば、ほとんどの投資家がより高いリターンをあげていたかもしれません。
売らずにもっておけというのは言うは易し行うは難しですが、こうやって数字で見せられるとなかなか説得力がありますね。
今回の大暴落は私の投資経験の中で初めてでしたが、売らずにホールドすることを学んだ良い経験になりました。
ところで、バンガード社によると資産を現金化した多くの個人投資家は12年以上バンガードに投資してきた50代半ばの人たちだったようです。
彼らの売ってしまった気持ちも分からないでもないんですよね。50代半ばといえば退職も近づいてくる年齢の人たちだと思います。
収入源である仕事がなくなる目前でコロナ禍で資産が吹っ飛ぶ恐怖は、まだ30代の私には想像もつかない恐怖なのかもしれません。もしくは嫁 or 夫から「頼むから株はもう売って現金化して」なんて泣きつかれて無念のうちに売ってしまった人もいるかもしれませんね。
株式資産をホールドし続けることの難しさが分かります。年を取れば取るほどに。