本でれ、資料であれ、レポートであれ、読んでいて私がもっともフラストレーションが溜まるもの、それが具体性がない記述です。
具体性がない記述とは、書いていることが概念的で行動レベルにまでかみ砕いて書かれていないような記述のことです。
例えば「サラリーマンが転職するときの事前準備」という記事があったとして、こんなことが書いていたとします。
サラリーマンが転職するときは事前準備が大切です。
(1)「自分の強み」を明確にしましょう。
中途採用では即戦力が必要となりますので「あなたの得意なことはなんですか?」と聞いても、即答できない人は転職しない方がよいでしょう。専門スキルをもってないと転職は難しいからです。
(2) 積極的に行動しましょう。
自分の考えや意見を持って、行動をしましょう。意外とこの重要なことが出来ない方が多く、上司の指示だけで動くのではなくて、自分でやるべきことを考えて行動できなければ、転職で成功することは難しいです。言われて行動するだけならバイトでも良いわけですし、あなたを採用する必要がないのです。
これは実際のネット記事を少し私がアレンジしたものですが、これはヤバいですね・・・なぜなら具体的な記述が何もないからです。といっても無料記事なんだから仕方ない側面もあります。
転職活動をする場合に「強みを明確にする」とか「積極的に行動する」なんてことは当たり前のことです。驚きや発見がないんですね。だから書くべきは、たとえ万人が応用できる手法ではないとしても、具体的で行動レベルにまでかみ砕いたものであるべきなんです。
「強みを明確にする」なら、それをどうやるか?まで書かないと。例えば上司・同僚・後輩30人に「自分の強み」と「そう思う理由」を聞いてランク付け、1番目と2番目に高かった項目について、さらに具体的なエピソードを思い出して、それを転職先でも再現できることを面接でアピールする。これならかなり具体的でしょう。
「積極的に行動する」も同様で、それをどうやるか?まで書くべきなんです。転職先の業務内容や面接で聞かれるであろう内容を調査するために質問リストを用意して、転職したい会社の知人にコンタクトして情報収集する。さらに競合企業の知人にも同じことをやって、競合から見た企業の特徴も調査する。エージェントを使うならその情報をもとに、エージェントと面接をどう攻めるか決める、まで書けば具体的でしょう。(私は転職経験ないので、あくまでこれは想像の対策方法です。)
資産運用サイトも同様です。インデックスでも高配当投資でもビットコインでもなんでもいいんですが、投資してサラリーマン薄給生活から抜け出して自分らしく生きよう、なんて謳うなら、具体的な手法を書いたものが、私なら読みたい。
具体的な手法とは、「その銘柄」に「いつから投資」していて、「評価額はいくら」で「毎年いくらの配当」をもらっているのか。
その投資結果のリターンがプラスかマイナスか、万人にとって再現性があるかないか、なんてどうでもいいんです。加えて、「どういう思考プロセスでこの投資法に行きついて、それまでにどんな失敗や成功や葛藤があったのか」まであると素晴らしい。
これは私の嗜好で、特に小説なんてそうなんですが、きれいにまとまっていて教科書通りの整頓されたお話より、生々しくて泥臭くて、書き手の苦悩に自分も引き込まれるような、そんな読みものの方が圧倒的に面白いんです。
じゃあ、お前は生々しいことを書いてるのか?と言われそうですが、これなんかは割と具体的で生々しさを書いてると自負しています。
繰り返しますが、面白くて参考になるのは具体的な記述です。一挙一動までもが分かるような記述。具体的な記述がない読み物は読み手を「理解できたような気」にさせてくれますが、飯食って寝たら次の日には忘却の彼方です。
「生々しい体験を書け」というのはこの本の教えです。作文系の本の中では突出した良書。
伝わる・揺さぶる! 文章を書く【電子書籍】[ 山田ズーニー ]
そんなのはだいたいPV稼ぎのために外注して書かせたやつじゃないかな?
コメントありがとうございます。
確かに外注かけたやつでしょうね。