SMHという半導体製造企業で構成されるETFは買わないという記事を書きました。記事の最後でクリーンエネルギー系のETFも私なら買わないと書きました。
ICLNとQCLNが有名ですね。(というか最近有名になった??)両方とも最近の株価上昇率は凄まじいです。(2021年1月現在)
ICLNの構成銘柄はBlackRockのサイトからダウンロードできます。
見てみると公益事業セクターが50%近く入っています。北米が13%、他は欧州各国とニュージーランド。
北米はさておき人口増加が望めない国の公共事業セクターがETF全体の30%近く入っています。本当に成長性あるのでしょうか?私は大いに疑問なんです。
例えばニュージーランドの国営電力会社メリディアン・エナジーが比率上位に入っています。水力発電の会社ですが、ニュージーランドはすでに再生可能エネルギー比率が80%を占めています。内訳は60%が水力、15%が地熱、5%が風力。化石燃料は残りの20%です。
ニュージーランドは2035年までに再生可能エネルギー100%にすることを国の目標にしているんですが、残りのパイはたった20%なんです。頑張れば国全体の発電量60%の水力を80%にできるんですが、達成したとしてメリディアンは大きく利益を伸ばせるんでしょうか?人口500万以下の国で。
自国の人口が少なくても新興国に進出して風力発電や太陽光発電して儲ける手もあります。でも、新興国って資源国が多いんですよ。石炭はNGでも炭素量が少ない天然ガス炊いた方が効率高いと思います。わざわざ発電量が不安定な風力発電や太陽光発電やる?っていう。出力や周波数の安定化には余計な装置が必要で初期投資に金かかります。
あとは資本財セクターが26%。PLUG Power (燃料電池), SIEMESE GAMESA (風力発電機), VESTAS (風力発電機), SUNRUN (ソーラーパネル)などが上位に入っています。
明らかに新興メーカーが参入してきてドンドン価格競争になりそうな感じがプンプンします。
私の経験上、工業品メーカーって時間が経つにつれて価格競争になりやすいです。例えば産業機械の中でも複雑なコンプレッサーやタービンだと欧米のGE、SIEMENSE、日本の三菱重工やIHIなどが有名でしたが、今や中国やインドでも普通に作れます。その結果何が起きるかというと価格競争です。メーカーが多ければ多いほど事業者からは買い叩かれるので利益は減るわけです。
風力発電機や燃料電池、ソーラーパネルの製造にも色々特許やノウハウがあると思いますが、そのうち新興メーカーが参入して競争が激化すると思っています。宿命ですよ、メーカーの。
QCLNは詳細を見ていません。TESLAなどの電気自動車の比率が多いようですが。でも電気自動車も激戦じゃないですかね。既存のガソリン車メーカーも転換を図っているし部品点数が減るので。むしろ自動運転のソフトウェアを完成させた会社が覇者となる気がします。
というわけでICLNもQCLNもナシです。クリーンエネルギーは聞こえはいいですが、ずーっと成長し続けるとは思えません。そのうち飽和します。バイデン氏の投資計画があるので数年くらいなら持っていても面白いんじゃないでしょうか。でも本当に再生可能エネルギーだけに力を入れるんですかね。アメリカは世界最大の天然ガス産出国なのに。バイデン氏は息巻いても、石油・ガス産業従事者(おそらく共和党支持者)は納得するんでしょうか?
構成銘柄をざっと見てもGAFAMのようなプラットフォームで稼げそうな企業がないんですよね。例えば「検索するならGoogle」「ネットで買う(売る)ならAmazon」「OSならMicrosoftのWindows」みたいな、もはや市場を独占している企業。もはやその会社のサービスを使わないと社会がまわらないような。
「燃料電池と言えばPLUG POWER」って言えるんでしょうか。テスラはよく分かりません。自動運転車が走り回る世の中になるならテスラもプラットフォーマーになるかもしれません。
まあどちらのETFも、もう結構上がりすぎてる気がしますね。フィーリングですがけどね。「株は安いときに買うべし」に従うならエクソンやシェブロンを買ったほうがいいと思いますよ。クリーンエネルギー銘柄ではありませんが、石油や天然ガスだってまだまだ世界には必要です。
そういえば昨年7月にバフェット氏が1兆円で天然ガス輸送用のパイプラインを買収してましたね。米国はシェールガスがガンガン出るんだから、ガス炊き発電やアジアへのLNG輸出増加を見込んでいるのかもしれませんね。さすが手堅いですね、バフェット氏は。
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