地獄の黙示録という戦争映画で、主人公がボートで川を遡ってカンボジア奥地に向かっていく映像を見て以来、私は無性にジャングルに行きたくなった。
日本から近く、ジャングルの中にあって、川の近くにあるホテル。色々と探した挙句にようやく見つけたのは、カンボジアのコッコン州タタイにあるレインボーロッジというゲストハウスだった。このゲストハウスはとてもユニークで、密林の中に小さな木造の小屋をたくさん建ててできている。そして近くの国道からボートで川を遡らないとたどり着けないというなかなかのisolateっぷりの場所だ。
私が行ったのは5年前。タイのバンコクから長距離バスでトラートまで行き、そこからカンボジア国境までバスで行く。その後歩いて国境を越えてバイタクのオッサンを捕まえて川辺まで行き、ボートで川を遡ってゲストハウスに到着。こんなとこ↓
このゲストハウスのどこが凄いのか言うと、密林の中にあるにも関わらずサービスの質がかなり高いこと。イギリス人が経営しているのだが、スタッフのカンボジア人は皆とても愛想がよく、部屋の掃除も行き届いていた。そして食事がメチャクチャ美味い。ホテルで出る食事か?というぐらいのレベルだった。
オーナーの40歳くらいイギリス人。実はソフトウェア開発のプログラマーなのだが、兼業でゲストハウス経営もやっている。昼間はイギリスの会社に納品するためのプログラミングをやりつつ、夜は客と同じテーブルで談笑しながら食事はするし、自ら先導して夜のジャングルを歩くナイトツアーもやるし、エネルギーの塊みたいなオッサンだった。客室を増やしたり新しくエステルームを作ったりとサービス拡充にも意欲的だった。
ユニークな生き方だね。というと、オッサンは笑顔で「カンボジアが好きなんだ」と答えた。社畜もいいけど、こんな自由な生き方もいいなと思った。
↑カヌーに乗りながらとった写真
私はホテルでカヌーを借りて、釣りをしながら川を遡った。水の流れはゆっくりでガラスのような水面に生い茂る密林が映りこむ。野鳥の鳴き声と葉がこすれあう音だけが響きあう静寂の世界。地獄の黙示録のカーツ大佐はいなかったが、ユニークで魅力的な生き方をしたオッサンは確かにここにいた。