チャンドラです。
本を読むのが好きだけど書評を書いたことはない、書き方が分からない、と悩んでいた時にこの本を手に取りました。
著者は本を1日1冊以上読み、年間250本以上の書評を「ライフハッカー」に寄稿する書評家です。もともと本を読むのが遅かった著者ですが、本を読み書評を書かざるを得ない状況に自分を追いこんだ結果、そこで得た速読法と書評の書き方を本書で示してくれます。
著者が示す「書評の書き方」のポイント3つを紹介したいと思います。
読者像をイメージすれば「伝える」力が強くなる
書いたものには必ず読み手がいます。著者は読み手を「性別」「年齢」「立場」の3点を意識して特定することが大切だと述べます。ここまで読み手をブレークダウンしなければ、読み手が何を求めているかを捉えることができないからです。
これだけなら他の本にも書いている内容と同じです。私の印象に強く残ったのは次の著者の言葉でした。
イメージがはっきりとありさえすれば、それは文章の力となり、「伝える」ことの後押しとなります。なぜなら、イメージを支えているものは「書き手の自信」だからです。
大切なのは「イメージが合っていたか否か」ではなく、「そのイメージが、いかに強い力となった文章を後押ししているか」
読み手をしっかりイメージすることが文章を書く「力を強くする」とは目から鱗でした。例えば「資産運用することのメリット」を不特定多数の人々に向けて書くと、ごく一般的な内容で終わりそうです。その代わり、これから投資を始めようか迷っている新社会人をターゲットにすれば、「独身のうちは給料の20%を投資にまわした方がいい」などより具体的な内容を伝えることができます。そして内容が具体的であるほど「強く」伝えることができるのです。
引用が読み手の要求に応える
著者は「引用」の重要性を次のように述べています。
読者の視点に立った場合、引用を用いた方が具体的であり、短時間での情報収集に効果的、そして一部を抜き出すことにより、結果的には全体への関心を高めることになる
私は本からの引用はオリジナリティがないのでは?と考えていましたが、今ではそれが間違っていたと思います。読み手が求めているのは「その本が面白いかどうかを知ること」であって私のオリジナリティではないためです。
ではこの読み手の要求を満たすために一番いい方法は、やはり「引用」だと思います。「引用」には書き手の脚色が入らず、本のオリジナルの言葉を読み手に伝えることができるからです。
もう一点、印象に残った言葉を引用します。
「どこを引用するか」ということ自体が書き手の個性につながる
なんでもかんでも引用すればそれはただの本のパクリです。引用する過程で書き手の印象に残った言葉を選別する作業が発生します。そこに書き手の個性を出すことができるのです。
書けないときは書き出してみる
「何か書いてみたい」と考えたときに初めにぶち当たる壁は「書きたいけど書けない」だと思います。私もそうです。そこで著者はとりあえず書きたいことの断片を書き出すことを推奨しています。
書きたいことの断片を書き出していけば、あとはそれらをつないでいけばいいだけだということが分かる。
私の場合、この「断片」を「引用」に置き換えて解釈しました。つまり、
1.本を読んで印象に残った引用を並べる
2. 引用に自分の意見や解釈を加える
3. 引用同士の関連を考慮して並び替える
これで簡単な書評が完成します。
まとめ
「プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術」を紹介しました。「引用」を活用した書評を書くテクニックを教えてくれる実践的な本です。
1時間程度で読める簡潔にまとまった良書です。ぜひ読んでみてください。
それでは。
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