「心配学~本当の確率となぜずれる?」という本からの引用。
身長など、自然界の数値は左右対称になることが多く、図1の下のグラフのように、収入など人間社会の数値はゆがんだ形が多くみられます。
年収の分布は正規分布のような釣り鐘型ではなく年収が高い方に裾が広がることはよく知られています。下の図のような感じで。
こういう分布をもとに平均値をとると、ビル・ゲイツなどの億万長者の収入の影響が効いてくるので、平均値が高い側に出る傾向がでてきます。この辺はレバレッジETFのリターン確率分布の議論と似てますね。
この本が面白いのはここからなんです。
私たちは普段、自分が平均より上なのか、下なのかが気になります。
たとえば、生まれた子供が歩けるようになるまでの日数は、身長と同じように個人差があります。仮に分布が左右対称だったとしても、おおよそ半数のお子さんは平均よりも歩き始めるのが遅いことになります。・・・
ただ、分布が左右対称であれば、「心配することになる人」は全体の半数で済みます。
しかし、年収のように分布がゆがんでいる場合は、心配することになる人の割合はさらに増えてしまいます。
つまり「平均値より大きければ安心、平均値より小さければ心配」という基準で物事を考えてしまうと、分析対象が左右非対称の分布をとるときに、心配する人が増えてしまう、ということなんです。
上の図を再掲してサンプルを100人としてみます。
すると、身長の場合は半分の50人が「平均より下で心配、もしくはもっと高くなりたい」と考える。一方で年収の場合は(ざっくり見積もりで)80人が「平均より下で心配」と感じることになるんです。
じゃあ平均値に代わる別の評価基準は何かといえば、やはり中央値でしょう。中央値 (順番が真ん中)で評価すれば、ゲイツのような超金持ちの影響を排除できます。
平均値だけに着目せず、中央値やそもそもの分布の形状にも着目するべきというのが私の考え。(まあ何回も同じこと言ってるけど ww)
引用した本:
心配学〜「本当の確率」となぜずれる?〜【電子書籍】[ 島崎敢 ]
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