京都の広隆寺という寺は国宝の弥勒菩薩像で有名なのですが、ここには仏教の十善戒を掲示があります。
生き物を殺しません。
物を盗みません。
みだらな男女の関係をしません。
ウソ偽りを言いません。
たわごとを言いません。
人の悪口を言いません。
二枚舌をつかいません。
ものを盗み貪りません。
いかり憎むことをしません。
間違った考え方をしません。
どれも社会で生きていくうえで当たり前のことばかりでしょう。ですが、100%守れているかといえば、Yesと言い切れる自信はちょっとない。
当たり前のことがなぜできないかというと、ややこしい世界に生きているからだ思います。自分は他人の悪口を決して言わないが、自分を攻撃してくる他人がいるならそいつを憎むでしょう。その時点で9番目の戒めを破ってしまう。
資産運用も同じですね。当たり前の事を継続するのが難しい。私が愛読している「投資の大原則」は限りなくシンプルなことを教えているのですが、やはり継続するのは難しい。
(1) 若いうちから貯蓄を始めて、定期的に続けること。
(2) 会社の福利厚生制度や国の退職に向けての制度を活用すること。
(3)コストの低いインデックス・ファンドを選ぶことで分散を図る。
(4) 自分の決めた投資方法を守り、市場の値上がりや値下げは気にかけない。
難しいのはなぜかと言うと、日々の株価の動きに惑わされたり、特定の個別株の爆上げや爆下げがニュースやブログなりで過剰にハイライトされてそちらに目移りしてしまうから。
極論すれば弱いんですよ。心が。広隆寺の十善戒にせよ、「投資の大原則」にせよ、当たり前の事しか書いていないのに、それらを守り通すことができないのは外乱に対する耐性が弱いからなんです。
耐性を強めるにはどうすればよいのか?まずは人間は外乱に弱い生き物だと理解するのが第一歩ではないかと思うのです。「無知を知る」という言葉がありますが、それと同じくらい「外乱に弱い」は重要だと思ってます。
余談:
十善戒は旧約聖書のモーセ十戒との類似性が指摘されています。古代、広隆寺周辺は秦氏と呼ばれる一族の本拠地でした。秦氏一族は渡来人で秦の始皇帝の末裔だと言われていて、財力と高度な技術力を持っていたことから天皇家の平安京建設に大きく寄与しました。
この秦氏、実は景教(キリスト教ネストリウス派でユダヤの影響が強い)を信仰していた可能性が高く、秦氏の業績の中にはユダヤの影響が色濃く残るものがあることが分かっています。モーセの十戒と酷似した十善戒がその1つです。古代イスラエル王国がアッシリアに占領された際に10氏族がアッシリアに連れ去られました。その失われた10氏族の末裔こそが秦氏で、秦氏が寺社建設などを通して日本文化にユダヤの痕跡を残している、という指摘があるのですが、これはなかなか面白い。