前の記事でレイ・ダリオ氏のオールウェザー・ポートフォリオを紹介しました。簡単におさらい。
このポートフォリオは資産を下のように分散せています。資産価格は4つの「季節」で異なる動きをするので、分散を効かせてどんな季節がきても資産を大きく減らさないようにしているというわけです。「季節」とは「インフレの季節」「デフレの季節」「経済成長の季節」「経済停滞の季節」です。
30% 株式
40% 長期米国債
15% 中期米国債
7.5% 金
7.5% コモデティ
このポートフォリオはS&P500に比べてシャープ・レシオが異常に低いんです。リターンに大きな差はないのに、リスクが半分以下だからです。
AW: 年率リターン (7.93%)・リスク (7.36%)
S&P500: 年率リターン (8.65%)・リスク (15.38%)
過去記事に書きましたが、あるポートフォリオにレバレッジをかける際に最適なレバレッジが存在します。ポートフォリオにレバレッジをかければかけるほどリターンの中央値が大きくなりますが、ある閾値を超えると中央値は低下します。その閾値こそが最適なレバレッジ。
従って最適なレバレッジは中央値が最大となるレバレッジだと結論できます。その値はリターン(μ)をリスク(σ)の2乗で割った値です。リターンをリスクで割った値をシャープ・レシオと呼ぶので、シャープレシオをリスクで割った値とも言えます。
オールウェザーはレバレッジをたくさんかけても問題ない感じがプンプンします。なぜならリスクが小さいから、リスクが小さければ小さいほど最適レバレッジの値が大きくなるからです。
AW: 年率リターン (7.93%)・リスク (7.36%)
S&P500: 年率リターン (8.65%)・リスク (15.38%)
この値を使って最適レバレッジを計算してみると、
AW: 14.6倍
S&P500: 3.6倍
過去記事でS&P500の最適レバレッジは1.75倍だと書きました。過去記事の場合はS&P500のリスク・リターンを過去90年のデータから各々20%・7%で計算しました。なので今回の結果 (3.6倍)と乖離があります。(ちなみに過去記事ではS&500のレバ3倍は高すぎると結論しています。)
一方でAWはレバ14.6倍が最適となっています。もっと長い期間をとってリスクとリターンを計算しなおすと最適レバの値も変わるかもしれません。それにしても14倍という数字は驚異的です。
ちなみに引用先の記事ではAWにレバレッジをかけた場合とS&P500を比較していますが、S&P500にボロ勝ちしていますね。レバ3倍のリターンはS&P500の約5倍です。
というわけで2007年以降のデータに基づけばオールウェザー・ポートフォリオの最適レバレッジは14倍だと分かりました。現実的には14倍もレバレッジをかける方法は、あるのかすらよく分からいのでレバレッジETFなどを組み合わせて2倍か3倍のレバレッジをかけるのが現実的かと思います。
リスク許容度が低い私でもオールウェザーの2倍レバならやってみたい気がしますね。2倍ならリスク・リターンは15%・14%。過去90年のデータによるとS&P500のリスク・リターンは20%・7%。明らかにオールウェザーのレバ2倍の方が安全に高いリターンを上げれそうです。(ETFの手数料を考慮したリターンは別途調査が必要ですが)
オールウェザー・ポートフォリオを紹介した書籍:
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