チャンドラです。
日本経済新聞の記事によると、資産運用に人工知能 (AI)を利用する金融系企業が増えているそうです。
野村アセットは機関投資家向けにAIを投資判断に活用したファンドの募集を始める。・・・1号ファンドは地銀が資金を投じ、19年7月末時点で東証株価指数(TOPIX)を約1%上回る運用成績だ。
このAIファンドは過去の株価変動の傾向を約2000の要因に分解して分析する点に特徴がある。東証1部のうち上昇や下落が大きくなりそうものを抽出し、投資判断に生かす。転職情報サイトの口コミから算出した従業員満足度などのデータも銘柄選別に使う。
要は人工知能を利用して、過去のデータを解析し、色々な要因と株価の相関関係を調べ、それを将来の企業の株価の予測に利用して、資産配分決めているんです。
ある企業は、アナリストレポートのテキストデータを自然言語処理して、運用に利用しているとのこと。レポートが間違っていたらどうするのかな。。。
とはいえ、AI投信はまだまだ始まったばかり。AI投信の半分以上の運用成績は市場平均に負けているようです。
AI投信の今後の普及の鍵を握るのは運用成績だ。日興リサーチセンター(東京・江東)によると、国内でAIを使って運用する公募投信29本のうち、8月末まで1年の騰落率をみると6割が日経平均(9%安)に負けている。「トランプ大統領の発言など政治的な要因に市場が左右されやすく、AIやデータの活用に改良の余地がある」(同センターの藤原崇幸主任研究員)という。
大統領の発言など政治的な要因に市場が左右されやすい・・・
そもそも要人の発言や政治的な要因で市場の株価が変動するのは避けがたく、だからこそ将来の株価を予測するのは難しいのです。
ということは、
証券会社が数学や物理のプロをたくさん雇って数理モデルを開発し、
大量のデータを解析して一番儲かるポートフォリオを組んで売り出したとしても、
アメリカの大統領が「中国製品に関税かけます」と一言つぶやけば、
難しい数式なんか一気に吹っ飛んでしまうわけです。
これは憶測ですが、おそらく証券会社は数理モデルをつくっておしまいではなく、その時々の世界情勢とかを考慮して色々とモデルの変数とか係数とかに変更を加えて対応していくのでしょう。
そうすると人の手を加わるので手数料も当然上がります。そうするとよほど運用成績が良くないとファンド購入者に利益がまわってこないということになります。
エキセントリックな大統領の登場とか、経済冷戦とか、紛争とか、
市場に大きな影響を与える要因が全くなく、
世界経済が安定的に成長するのであれば、
AI投信が市場平均を大きく上回る成績を出す可能性は高いと思います。
ただし現状を見ても分かる通り世界は不確実です。
予想外の人物が大統領になったり、大国同士が貿易戦争を始めたり、新興国がすごいスピードで経済成長したり、大災害が起きたり。
色々考えると市場を予測することすら難しそうです。
だとすれば手数料ゼロで市場と連動するインデックス・ファンドに投資し、ドルコスト平均で定期的に積み立てることで、
平均点を狙いに行くのが一番無難だという、いつもの結論に落ち着くのです。
それでは。
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