資産運用 金融工学

30年後に2000万円欲しいときに積み立てるべき金額

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老後2000万円問題が以前話題になりました。退職時に2000万円ないと老後破綻するという内容です。

2000万円という数字が独り歩きした感は否めないです。当たり前ですが必要な金額は、年金受給額やローン有無など個人の状況に大きく依存します。

定年まで勤めあげたサラリーマンであれば年金受給額は毎月16万円くらい。結婚している場合、配偶者が共働きか専業主婦によりますが、世帯合計で毎月25万円くらい。毎月25万円なら感覚的に全生活費をカバーできる気がしますし、旅行したいとか、高い飯食いたいとか、介護とかで金かかるのを考えれば、2000万円はまあ妥当かなという気もします。

定年まで勤めあげたサラリーマンなら退職金で2000万円近くをゲットできそうですが、仮にこの2000万円を積み立て投資でカバーする必要がある場合、毎年いくら積み立てるべきか考えてみます。また、2000万円必要か?は人によるので、ターゲットを1000万円~4000万円と幅を持たせて検討します。

以下は前提条件。

(1) S&P500連動ファンドを想定。年率リスクとリターンはそれぞれ20%と7%とする。

(2) 株価は幾何ブラウン運動すると仮定、モンテカルロでシミュレーション。

(3) 30年間積み立てる。年間積立金額は20万円~60万円の5通り。

(4)30年後の評価額の中央値を調べる。(平均値を見るのが定石ですが、今回はコンサバにして中央値を見てみます。)

年間40万円積み立てた場合、30年後の評価額の分布は以下の通りでした。ファンドの価格変動のために分布は広がりをもちます。中央値は1900万円でした。

年間投資額別の総投資額と30年後評価額の中央値をまとめたのが以下の表です。

仮に運用で2000万円欲しいのであれば、年間40万円投資すればよいことが分かります。(細かいことを言うと売却益に20%税金が引かれるので、iDecoやNISAを使うのが大前提。)

この表は「投資しすぎたくない」という観点からも使えます。例えば退職金を十分もらえるから2000万円もいらんけど1000万円くらいは運用で用意しておきたい、と考えるなら、年間20万円だけ投資しておけばよいと判断できます。

 

関連記事:

S&P500の積立投資と一括投資のリスクを確率分布の形状から定量的に比較する。

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